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青色を光らせたヒーローの裏側

2014年のノーベル物理学賞に日本人二人と日系米国人(中村 修二さん)が受賞されることはめでたいことです。

正直のところ、ノーベル賞のニュースを見るまでは、青色発光ダイオード(LED)を発明したのは、徳島県の片田舎の会社、日亜化学を世界的なものに仕上げた中村修二(60)さんだと思っていました。周りの人たちに馬鹿にされながらも孤軍奮闘、そして青色の発光にこぎつけたと言うイメージを持っていました。青色発光ダイオードを初めて開発したのが赤崎勇教授(85)とは全然知らなかった。

たぶん、日本人のほとんどの方が私と同じだったのではなかったかと思います。中村さんは、日本の企業内研究者の劣悪な待遇を不満として、かつて働いていた会社に対して裁判を起こしたり、もっと研究環境の良い米国へ行こうなどと呼びかけていました。中村さんは研究者を搾取する悪徳企業に敢然と立ち上がったヒーローでした。このイメージが今回中村さんにもノーベル賞が与えられることに貢献したのだと思っています。でも、いろいろと記事を読んでみるとちょっとイメージが違ってきました。

青色発光を単独で作り上げたとか悪徳企業に完全と立ち上がったヒーローという中村さんのイメージは虚構でした。
真相はこの↓ようです。

青色LEDの量産化を可能にした技術はアニールP型である。この技術は入社2年目の社員、妹尾雅之さんと岩佐成人さんの二人が開発した。中村さんとは、上下関係にあるのにほとんど口を聞くようなことはなかった。アニールp型化現象を中村さんに報告したが,当初中村さんは「そんなはずがない。間違っているだろう」と否定していた。中村さんは,妹尾さんや岩佐さんが実現したp型化現象を,理論を後付けした上で誰にも知らせずに,妹尾さんや岩佐さんと連名の論文として発表した。論文の筆頭者(ファーストオーサー)は中村さんだった。  ← ここは日亜科学側の言い分

この虚構のイメージが無かったら、ノーベル物理学賞の3人目の枠にはおそらく、当時NTT光エレクトロニクス研究所の研究員だった松岡隆志さん(現東北大学金属研究所教授)か、あるいは日亜化学でも、中村さんの下で働いていて実際に貢献した社員グループになるところだったでしょう。ノーベル賞には、誰かが推薦する必要があります。また、同時受賞は最大3人までという規定があります。青色発光ダイオードの開発者をノーベル賞に推薦した人は、おそらく勘違いと3人の枠ということでこの人達を受賞の対象として推薦しなかったのかもしれない。

中村さんは日亜化学退社後、日亜化学のライバルの照明開発会社である米クリー社の関連会社に非常勤研究員として迎え入れられます。これに対して、日亜化学は、青色特許技術がライバル企業に流出したのではないかとして、企業秘密漏洩の疑いで中村氏とその関係ある企業を提訴します。結局、裁判では日亜化学の言い分は認められませんでした。訴訟に至る日亜科学側の対応が悪かったのでしょう、中村さんは訴えられた腹いせとでも言うのでしょうか、逆に日亜化学に発明の分け前をよこせと訴えます。驚くことに、この訴訟費用は転職先のクリー社が全部負担するし、追加報酬としてクリー社の7万株のストッ クオプションが与えられると契約を交わしていました。クリー社から訴えろとそそのかされていたわけです。表では日本の研究者の劣悪な環境の改善を求めて訴えを起こしたというような世間的に喝采を浴びそうな演技をしておきながら、実はそんな事情があったわけです。

中村さんは発明対価を求めた争った裁判で、最初の東京地方裁判所で200億円支払えとの判決を勝ちとります。しかし、控訴審では、大幅減額の6億円(利息分を含めて8億円)で和解してしまいます。随分と妥協してしまったなと思いました。それには、日亜化学が、控訴審ではしっかりとデータを集めて反撃に出たこと、その結果、中村さんは形成不利になったと判断した結果でした。

中村さんは、米国のクリー社に転職しようとしていた時に、劣悪の待遇で研究させられている日本の研究者はスレーブ研究者と呼ばれているとして、自分の置かれていた研究環境を含めて日本の研究体制の改善を世間に訴えていました。

現在、中村さんは米カリフォルニア大サンタバーバラ校で教授をしています。サンタバーバラ校には行ったことがあります。通りすがりにちょっと覗いただけです。キャンパスが海岸沿いにあって環境のとても良さそうな大学でした。ホームページのトップ↓に中村教授のノーベル賞受賞が取り上げられています。中村教授はサンタバーバラ校では6番目のノーベル賞受賞だそうです。
http://www.ucsb.edu/
ノーベル賞受賞が決定した後のサンタバーバラ校での記者会見では、米国を研究拠点に選んだ理由について「研究者に多くの自由が与えられ、一生懸命やれば、みんなにチャンスがある」と語り、「日本では性別や年齢などの差別により、全員にチャンスがあるわけではない」と残念がっていた。

これに対しても、ネット上にはこんな↓反論がありました。
1.アメリカは学歴・資格社会である。研究者になるには、最低限、ドクターの学位が必要である。 一般的な平均レベルの州立大学の学部を卒業した程度では、米国では、研究のアシスタントにしかなれない。研究をさせてもらえない。
2.上記の理由から、もしも、中村氏が卒業後渡米し、アメリカの会社に就職していたら、アシスタントや作業員レベルの扱いだっただろう。
3.中村氏は会社制度を根本から勘違いしている。 日亜化学工業を否定し、会長にだけ感謝している。しかし、会長が個人でお金を出したのではなく、 お金を出したのは会社である。中村氏は会社のお金で自由に研究開発をさせてもらえた。
4.アメリカ企業では発明者の報酬は、特許出願を行なった時に1ドル、そしてそれが特許として許可された時に1ドルというのがざらである(1ドルはコモン・ロー上契約が成立するための最低の対価)  アメリカでは発明者の報酬は地位 の向上や破格の発明でもせいぜい数1,000ドルのボーナス程度であることはよく理解されているので、野心のある発明者は自ら会社を興したり、ベンチャービジネスを行なう。
  そこにはリスクはあるが、成功した時の報酬は当然高くなる。つまり、企業の保護の基で発明に専念するのみで、多大の利益も企業組織が生み出す場合と、これらの全てを自ら行なう経営者的発明者(エジソン等)の場合では報酬が異なるのは当たり前なのである。  ← この項については「企業発明者への報酬のあり方 」(http://dndi.jp/08-hattori/hattori_2.php )から引用。

1のパラグラに関してですが、アメリカは学歴・資格社会であるという書き出しに、おや?と思う人が多いと思う。米国は実力社会だというイメージが平均的な日本人の間には浸透している。確かに一面では、実力主義社会のところはあります。しかし、大企業になると内部は、学歴・資格社会です。それ以上に、コネ社会です。AT&Tで働いていた時に思ったのですが、少なくともAT&Tのなかで出世するには1にコネ、2にコネ、3にコネ、4・5が無くて6に身長が高いことと思いました。(ここで、コネというのは社内有力者とのコネクションという意味。上司関係など周りからも推測される表のコネとあまり表に出さず内密にしておきたい裏のコネとがある。)米国の大企業では、コネが無いチビは、最初から出世レースから脱落です。あ、デブもだめかな。

いずれにしろ、中村さんは、日本だから研究させてもらえた。米国だったらまず無理だったでしょう。もちろん成果を出した後なら、米国から色々引く手あまたです。
最後に、中村教授が発明者になっている最近の米国特許出願の出願人を調べてみた。いずれも青色発光ダイオード関連のようです。特許の申請名義人は、そのほとんどがカリフォルニア大学となっている。(一部は、科学技術振興機構との共有)。中村教授自身が単独で出願人になっているものはなかった。中村さんが言ってきたことと実際にやっていることが違っていた。
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